バイオ・製薬産業、韓国と日中の格差拡大
昨年9月、中国上海市の浦東地区中心部にある面積1256万平方メートルの建設用地で、アジアの医療・臨床市場を狙った国際医学園の区画整備が始
まった。医療機器世界最大手の独シーメンス、臨床研究企業の米コバンスが既に進出を決めている。現地では日本、米国、ドイツ、シンガポールからやって来た
病院関係者たちがあちこちを視察し、病院建設候補地を探っていた。中国政府と上海市は、同特区に1兆2000億ウォン(約880億円)の資金を投入してい
る。
中国北京市にある北京天壇普華医院で、古びた建物の中に入ると、肌の色
が異なる人々が行き交っていた。欧米、アジア、南米などから治療のためにやって来た難病患者たちだ。60代の米国人末期がん患者は「あらゆる方法を施した
が、治療に失敗したため、ここにやって来た」と話した。この病院では、幹細胞を使った治療や臨床試験が世界で最も多く行われている。
幹細胞は韓国が中国よりも先に開発を進めた分野だ。しかし、中国政府は一昨年1年間に韓国の5倍を超える約1840億ウォン(約135億円)もの集中投資を行った。バイオ業界の関係者は、「中国が基礎研究を商業化するスピードはあまりに速く、衝撃的だ」と話した。
■遺伝子治療剤、日米に先駆け商業化
世界の製薬市場の規模は8370億ドル(約69兆8000億円)に達
し、メモリー半導体市場の441億ドル(約3兆7000億円)の19倍に匹敵する規模だ。
売上高ベースで世界1位の高脂血症治療剤「リピトール」(ファイザー製薬)は、年間136億ドル(約1兆1300億円)の売り上げを誇る。これは、現代自
動車のアバンテ130万台に相当する金額だ。
中国のバイオ・製薬市場は、過去3年間に年平均27%という驚くべき成長を遂げ、一昨年には、製薬大国ドイツを抜き、世界4位の製薬市場に浮上した。中国1位のハルビン製薬集団は、世界上位50社入りを果たした。ちなみに、韓国の製薬メーカーは1社も含まれていない。
ならば、中国は規模だけを追求しているのかといえば、決してそうではない。2003年10月に中国のバイオ企業、深セン賽百諾基因技術
(Sibiono)は、世界初の遺伝子治療薬となる頭けい部がん治療薬「ゲンディシン」の商業化に成功した。日米より3−5年早い成果だ。
当時、このニュースに最も衝撃を受けたのは日本だった。米国は約20件の臨床試験を経て、商業化目前の段階だったが、日本はまだ基礎研究の段階に
とどまっていた。奈良県立医科大学の大西武雄教授は、「日本では遺伝子治療薬といった先端医薬品の臨床試験など夢にも描けない状況だったが、中国は既に製
品化を成し遂げた」と驚きを隠せなかった。
2011年2月3日 朝鮮日報